神鳥の卵 第13話


ルルーシュとの会話に関するC.C.の解釈。
それは、かつてルルーシュがかけたギアスが繋がりとなり、スザクと咲世子はルルーシュの考えを理解できるというもので、その言葉にスザクはあからさまに不愉快そうな顔をした。

「ちがうよC.C.!それは間違っている!僕がルルーシュの話を理解できるのはギアスは関係ない!」

これはある種のギアス・アレルギーだなと見たC.C.は不敵な笑みを浮かべた。
確かにギアスは扱いが難しく、悪となることも多いが、使い方を誤らなければ数多くの奇跡を起こし人々を救い出す。ルルーシュも多くの人を操り悪を成したが、それだけではなかった。その恩恵を受けた一人がスザクなのに、それを理解せず、ギアスもコードも全て悪だと言いたげなスザクの反応は気に入らなかった。
ギアスは願い。
ルルーシュはそう解釈し、それを理解し仮面と意志を受け取ったはずなのに。

「ほほう、ではどうして理解できるんだ?表情を見てそんな気がしたという話ではないだろう?事細かな内容まで理解できる理由は何なんだ?」

お前の脳には、こいつの声にならない言葉が届いていたはずだ。
そんなC.C.に、違うよ分からないかなと言わんばかりの笑みをスザクは浮かべた。

「そんなの決まっているよ、これは愛だ!」

びしっと手を前に突き出し、スザクは言った。

「は!?」

仮面を手に持ち、まさにゼロと言わんばかりのポーズを取ったスザクは、自信満々の顔でこちらを見た。ゼロのポーズをルルーシュの過去映像を見ながら練習しただけあって、それらしく様になっているから腹が立つ。そんなスザクを見て「そうだ!それでいいんだ!やれば出来るじゃないか!」と言わんばかりに目をキラキラとさせ一気にテンションを上げているルルーシュ。
いやそれよりも、この男は臆面もなく愛と抜かしたぞ?と、C.C.はものすごく冷たい視線でスザクを見た。なにせルルーシュを殺したのは間違いなくこの男だ。その手でルルーシュを殺しておいて、ルルーシュを愛しているとその口で平然と言うなどおかしいだろう。だが、スザクはC.C.の視線など最初からガン無視で、ルルーシュのキラキラした視線に幸せそうな笑顔を向けていた。
その反応は気に入らないとC.C.は馬鹿にするような笑みを浮かべた。

「お前馬鹿だろう。ああ違うな、お前は元々馬鹿だったな。すまん、最近ゼロで頑張っているから忘れてたが、お前は大馬鹿者の鳥頭だったな」

そうだったそうだったと、完全に棒読みでいうC.C.の言葉には、さすがのスザクも反応を示した。せっかくいい気分だったのにとすごく不愉快そうな顔だ。だが、見るとルルーシュは「スザクが馬鹿なのは当たり前だろう。馬鹿だからこそのスザクだ!」と、なぜか嬉しげに同意していた。
馬鹿な子ほど可愛いという心理はスザクとC.C.には解らないため、ルルーシュの反応になんとも言えない表情をした。
馬鹿にした方もされた方も、それ以上何もいえず、とりあえず話をすすめる。

「もし、お前の言葉を信じ愛の力で理解したとしよう。ということは、私と咲世子も愛の力で理解し、ロイドとセシルは愛が足りないと言いたいわけだな?」

普通に感じた疑問をそのままぶつけてみると、スザクはぴしりと固まった。
やっぱり馬鹿だなこの男はと、C.C.は呆れたように息を吐いた。
少し考えれば理解ることなのに。
これがスザクだけなら愛の力という言い分を100歩譲って認めたかもしれないが、咲世子とC.C.も理解しているし、ロイドとセシルが理解できない理由にならない。
まあ、ルルーシュからの愛、あるいはルルーシュへの愛どちらかで変わりそうな気もするが、どちらにせよスザクとC.C.が同じ場所にいる以上、愛を押し通すのであれば、二人は同列だと認めることになる。
もちろんC.C.はそんなこと認めるつもりはない。
スザクも同じで、ものすごく不愉快そうな顔でC.C.を睨みつけた。

「これはギアスによる精神干渉だと、私は予想している」

愛ではない。同列なんて冗談じゃない。
そもそもお前の言う事など認めない。
互いにその思いを込めて睨みあう姿を、ルルーシュは「やはり話し合いは大事だな。世界もこうやって会話で解決するばいいものを」と、言うようにウンウンと頷き合いながら見つめていた。
この二人はルルーシュが戻ってきてからは、事あるごとに喧嘩をしていた。
喧嘩をしすぎていた。
その姿をルルーシュは見慣れてしまい、これが二人のコミュニケーションの取り方なのだと理解してしまった。親友フィルターと共犯者フィルターの効果が誤作動を起こしたのだ。二人が険悪に言い合う姿が、喧嘩するほど仲がいい、あるいはじゃれあっているように見えているルルーシュは、温かい眼差しを二人に送る。
そんな姿を見てしまえば、スザクもC.C.も睨み合っていられなくなり、そこで喧嘩は終了する。だから余計に仲良く写るのだが、二人はそのことに気づいてはいなかった。
スザクとしてはギアス説は否定したい。
お互いに自分(とナナリー)以外の人間がルルーシュに愛されているなんて認めない。
そう互いに思っているのだから、これ以上愛情説を押すことは不可能。

「・・・わかった。それでいいよ」

ルルーシュに関して頑固で融通が効かなくなるスザクだが、ここは素直に折れた。

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